胃の働き
胃袋の容量は、個体差はありますが、だいたい1.4~2リットルです。
食物が入ってないときの胃は、しぼんだ風船のような形で食道から垂れ下がっています。胃は栄養を吸収する為に消化する働きこそ重要です。
我々が食べた最初の一口が胃に達すると、消化活動に入ります。
胃の動き(蠕動運動と言います)により、胃の出口(幽門)へ食物を運ぼうとします。しかし、幽門は狭く、強靭な筋肉でできていますので、ある量以上の食物は通過出来ません。
したがって、幽門を通過できずに残った食物は胃に押し戻され、胃液で消化され、腸へと運び出されて行くのです。
ちなみに、食物を消化する役目の胃液は、無色透明で、その中には塩酸(胃酸)やペプシン(たんぱく質を分解する酵素)が含まれ、成人では1日に1~3リットル作られます。
☆胃液は硬い肉でも消化するのに、なぜ自分の胃を消化しないのでしょうか?
それは、胃液の中に混じっている粘液性の物質が、胃粘膜の表面を被って浸食を防いでいるからです。
さらに胃壁の細胞は絶えず剥がれ落ち、新しく作られた細胞へと置き換えられ、胃粘膜の傷が修復されているのです。
ストレスからなど、何かしらの原因でこの防御機能が崩れ、胃が消化されてしまうのが消化性胃潰瘍です。
胃液は十二指腸にも送られてくるので十二指腸潰瘍も同様にしておきてきます。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍で使用する薬
1) ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)…ガスター、ザンタック、タガメットなど
胃には、ヒスタミンという物質が結合すると胃酸が分泌されるH2受容体という部分があります。この薬は、ヒスタミンがH2受容体に結合するのを防ぐことによって、胃酸の分泌を抑えます。
2) プロトンポンプ阻害薬(PPI)…オメプラール、タケプロン、パリエットなど
胃には、最終的に胃酸を分泌するプロトンポンプという部分があります。この薬は、そのプロトンポンプの働きを妨げ、強力に胃酸の分泌を抑えます。
3) 抗コリン薬…ブスコパン、コリオパン、ガストロゼピンなど
胃酸の分泌を抑えます。また、消化管の過剰な動きを抑え、痛みを和らげる効果もあります。
胃酸分泌を抑える効果は、ゆるやかです。
4) 制酸薬…アルミゲル、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウムなど
炭酸水素ナトリウムや酸化マグネシウムなどを成分とするアルカリ性の薬で、胃酸を中和します。
即効性はありますが、薬の効いている時間が短いのが難点です。
5) プロスタグランジン製剤…サイトテックなど
プロスタグランジンを増やす薬です。プロスタグランジンとは、胃粘膜を保護するような働きがあります。非ステロイド性抗炎症薬(ボルタレン、ロキソニン、バファリンなど)が原因の潰瘍に使うことができます。
6)その他の薬…ムコスタ、セルベックス、アルロイドGなど
胃粘膜の働きを強める、粘液を増やす、胃粘膜の血流を増やすなどの作用を持つ、さまざまな薬があります。
市販薬は医師や薬剤師に相談しましょう
胃潰瘍・十二指腸潰瘍と診断されている方は、自分の判断で、市販のヒスタミンH2受容体拮抗薬やその他の胃薬などを飲むことは避けましょう。
市販の風邪薬には、潰瘍の原因となる成分が含まれている場合もあります。
よく確認して、医師や薬剤師に相談してから飲むようにしましょう。